連載「ねコラム」では、当協会 理事・会員の皆様からネーミングに関することをご紹介いただきます。
*月1回の配信。第5号は、第1~3号でもご担当いただいた当協会理事の岡田直也氏からの発信となります。
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「ヒトトヒト」???
永年、東京ヤクルトスワローズのファンをやっています。BSで、よく中継も見ていますが、今年になって、どうにも気になってしかたがないものが、TVに映るようになりました。それが、ヤクルトのベンチ内の壁にある、「ヒトトヒト」の文字。マスクを直す高津監督とともに、よく目にするんですね。
そこで、調べてみたら、ちゃんとした企業名であることがわかりました。もともとは、ビルメンテナンスで実績をつくって、最近では各種イベントの運営や、人材派遣などにも携わっている会社のようです。「ヒトトヒト」を名乗ったのは、今年から。さっそく、神宮球場の広告スペースを買った、ということでしょうか。
人材派遣の会社であれば、「ヒトトヒト」のネーミングは、とてもわかりやすいように思います。でも、大元のビルメンテナンスには、どうなんだろう・・・という気もしますが、そこのところは措いておきましょう。
特筆したいのは、こっちです。つまり、この「ヒトトヒト」という新ネーミングが、とても面白いことです。カタカナの「ヒ」と「ト」がとてもよく似ていて、文字列にすると、それだけでビジュアルになる。すごく上手な名づけだなあ、と思うのです。
そうなんです。つまりは、黒川伊保子先生言うところの、「デジタル系」ですよね。「GINZA6」や「NEWoMan」に続く、記号的な、ロゴ映えするタイプのネーミングです。「下北沢ミカン」もそうかな。今後こういうものが、どんどん増えていくのでしょうか。なんだか、楽しみでもあります。
さて件の、神宮球場ベンチの広告。寄りで映る頻度が高いので、外野フェンスなんかよりよっぽど効果はあるのでは、と思われます。けっこう、認知は上がったのではないだろうか・・・。
Photo by スポニチ
日本ネーミング協会 理事
コピーライター