連載「ねコラム」では、当協会 理事・会員の皆様からネーミングに関することをご紹介いただきます。
第2号も、当協会理事の岡田直也氏からの発信となります。
*月1回の配信。岡田直也氏には全3回の連載をご担当いただきます。
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子どもの名づけは、一大事業!
情報サービスサイト「ウーマンエキサイト」によると、新生児の最新名づけランキングは、1位 陽翔(はると)、2位 碧(あお、おおい)、3位 蒼(あお、あおい)、4位 蓮(れん)・・・となっているのだそうです。うん、名づけの領域にも、ジェンダーレス化が進んでいるなあ、と感じるとともに、「翔」や「碧」の字は、長いこと人気があるなあ、と思わされます。げんに、サッカー日本代表には、田中碧(あお)や三苫薫、堂安律など、ジェンダーレス、そして好字という、いまと変わらない名前が見られます。それから、櫻井翔と中田翔が、おなじ「翔」の字をつかっているのも、なんかおもしろい・・・つまり、もう20年以上も前から、こういう傾向、だったのですね(そういえば、ジャイアンの本名は「薫」でした)。
もちろん、流行り廃りはあるかも知れない。でも、おなじ名前カブり、っていうのも、けっこうあるのではないだろうか。そういえば数年前、神戸の女子大の講師をやっていたとき、やたら「さき」・・・咲希・咲葵・紗季など、表記はいろいろ・・・が多かったこと、思い出しました。
そこで、ちょっと前に話題をさらった、「キラキラネーム」。あれは、将来きっと困ることになるだろうなと、他人事ながら心配してしまいます。名づける親の感性と知性は、いったいどうなっているのか、とも。昔の暴走族の「ギャランΣ」の車体にあった、「死喰魔」の文字列を、個人的にはどうも想起してしまっていけません。
これも、女子大講師時代の話ですが、忘れもしない、トップクラスのキラキラがありました。それが、「萌々奈」(ももな)というもの。うーん、「萌」という字は、「もえ」と読んでも、「も」とは読まないんじゃないかなあ、それに、いちいち人に読み方を説明するのもタイヘンだろうな、などと思ったものです。あの子はいま、どうしているのか。元気でやっているなら、いいですけど・・・。
そうなんです。この、子どもの名前。基本的には、なかなか自分で替えることはできませんね(もちろん、それは可能です。げんに改名した人も知っていますが)。いちど決まったら、それを背負って、人生を駆け抜けていかねばならない。だから親はとにかく、名づけには周到な準備をし、将来のいろんな可能性を考えて、しかもなるべく他とカブることのないようにして、臨まなければならないのです。そう、名づけはほんとに、親の「一大事業」、なのですから。
(おまけ)こんな例もあります。オリックス・バッファローズの、伏見寅威捕手。親はどうも、ラグビー選手にしたくて、「トライ」にこの字を当てたそうです。ところが皮肉なことに、彼はいま、野球をやっています!いっそ、寅野(トラヤ)とかに改名したらいいのに(笑)。
日本ネーミング協会 理事
コピーライター