連載「ねコラム」では、当協会 理事・会員の皆様からネーミングに関することをご紹介いただきます。
*第11号は、当協会理事の岡田直也氏から引き続き「リ・ネーミングについて」の発信となります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さて、おまけの話。
野球の用語の和訳って、だいたいがそんな感じだ、と思っていたら、逆にこれはスバラシイ、と思わせるものがありました。それをご紹介しながら、3回にわたる連載をおわりたいと思います。
まず、「押し出し」。
英語では、押し出し四球のことを、push four ballと言うようです。
たしかに、3つの塁(これも軍事用語でした=砦)から押し出されるので、pushには違いありません。
でも日本では、これを「押し出し」と言ったのが上手だった。
なぜって、相撲の決まり手を想起するじゃないですか。つまりは、自分たちの文化のコンテクストに寄せて和訳を考えたことになる。
ちょっとしたことなんだけど、先人の努力の跡がしのばれます。
そして、これは傑作、と思わせるのが、「サヨナラ」。
一振りで試合を決めるサヨナラホームラン、サヨナラヒット(もちろん四球やエラーもあるんですが)。それはそれは劇的な出来事です。
英語ではこれをwalk-off homerunというそうです。
打たれた投手が歩いてベンチに戻るさまを表したようですが、ドラマチックな幕切れを微塵も感じない。
これではダメ、ですよね。
その点サヨナラは、すばらしいと思うのです。思い返せば、代打逆転満塁サヨナラ優勝決定ホームラン、というとんでもないことをやらかした選手がいましたね。そう、近鉄の北川選手でした。
それはさておき、この2つの事例が、野球用語のリネーミングを考えるにあたって、いいヒントになってくれるのではないか、そんな気もします。プレイ・ボールは「ボールで遊ぼ」なんです。そこには軍隊も戦争も、まったく関係ないはず、なのですから。
日本ネーミング協会 理事